クローバーフィールド/HAKAISHA

うーん、怖かった。
この映画は「物語」ではなく「記録」という資料を見せつける。破壊される街、襲われ死んでいく人間。そんな惨劇を目にしても、迫力に圧倒されることはあっても「いつどこで襲われ死ぬか」とか「パニックで正気を失った人間」というような恐怖は感じられなかった。だが、終わりとともに得も言われぬ恐怖に身を包まれた。
事件の「記録」の終了の後に、スクリーンには登場人物の過去が映し出される。
この場面で突然俺は今まで見てきた人間にも命があったのだ、という当然のことに突然気づいた。どこで誰が死のうが正直何とも思わなかった。それなのにあの過去を目にした瞬間、急にずしりと錘を背負わされたような気分になった。俺はこの映画に登場する人間達の命を余りにも軽く見ていたのだ。
9.11テロや大地震で人が死んで、悲しいだとか可哀想だと思いはすれど、所詮は他人事として俺は受け止めているのではないか。そんなことを思い起こさせられるというのが、この映画の1番の恐怖だった。




スピルバーグの『宇宙戦争』を観た時も思ったけど、侵略者側の視点から描いたSF映画を誰か作ってくれないかな。被害者側ではなくて侵略者側の視点でアメリカ本土を徹底的にぶっ壊す映像を見てみたい。