軽音部は夢なんかじゃないよ。起きろ!

木を見て森を見ずというか何というか…
Togetterで話題になってブログにも書かれてあるけいおん!という病。”全員女子大進学問題”を考える。について。

要するに「卒業するのに離別による成長を描いてないからけしからん!」ってことなんだけども、卒業=誰かと別れるなんて誰でも想像できますよね。当然、京アニのスタッフだってそれぐらいのことを考える頭を持ってないわけがないでしょう。

もし『けいおん!!』というアニメが平凡な作品ならば、彼女達が別々の進路を行っても「け・い・お・ん・ぶ」ストラップで繋がりを示して終わり…という流れにもなっていたでしょうよ。
でも、そうはならなかった。だったら個人的な好き嫌いはともかくとして「○○がないから駄作」じゃなく「○○がないなら何を描きたかったのか」を考えてみましょうよ。


僕は『けいおん!!』の最終回を観た後に絶対に『ビューティフル・ドリーマー』等の作品と比べて、いろいろと文句を言う人が出てくるだろうなと思っていました。
そういう人たちは唯たちの成長が見えなかったのだろうか。さわ子先生の友人の結婚式に呼ばれたときや、「U&I」の歌詞を作った際の心境が読めなかったのか。文化祭の演劇に関する話などをどう解釈していたのだろうか。

彼女達は理解しているんですよ。軽音部や今の、そしてこれからの生活は「何もしなくてもいつまでも続く心地良い夢」ではなく、結果はどうあれ「自分達が頑張って作っていかなきゃならない現実」だって。*1

キミがそばにいることを当たり前に思ってた
こんな日々がずっとずっと 続くんだと思ってたよ
ゴメン今は気づいたよ 当たり前じゃないことに

だからこの「U&I」の歌詞があるんですよ。


確かに、僕も四人が同じ大学に行くのはちょっと奇妙だと思いました。でも澪がなんの迷いもなく志望校を変更したと思いますか?第8話の進路の話を観ても、唯はなんとなく今の大学に決めたと思いますか?*2


彼女達の選択が正しかったかどうかは僕にはわかりません。離別によって得られる成長もあるでしょう。しかし、同じ道を行くからこそ得られるものもあるのではないでしょうか。
僕は彼女達がなんとなくではなく、自分の意志で今の進路を選択したこと自体が成長であると解釈していますし、それこそが『けいおん!!』という作品が描きたかったことだと思っています。


一応補足しておきますが、唯たちにとって和の存在は軽音部のメンバーより大切じゃないってことではないですからね。

*1:劇中で唯が亀で、年齢的に1年早く現実を理解する梓が兎で喩えられてる

*2:こういう物語として盛り上がりそうなところを軽く流したり省略するのが、この作品の長所であり短所でもあるとは思うけども