ポセイドン

Uボート』『パーフェクト・ストーム』と海の映画を撮ってきたウォルフガング・ペーターゼンがこの映画を撮るのは必然だったのかも知れない。そういうことである程度期待してたんだけど、出来上がったものはドラマも何もないB級サバイバル映画だった。そもそも上映時間98分というこの監督にしてはかなり短いのが気にはなってたんだけど。
この映画を観てる間ずっと考えてることがあったんだけどさ、リチャード・ドレイファスの演じる役って何の意味があってホモなの?しかも自殺志願者という設定。まったく活かされてない気がしたんだが。
そんな設定なんて実際に事故が起きたら関係ないよってことなのかも知れんが、これは映画だ。映画ってもんは現実ではありえないことでも、それにリアリティを持たせて観客に提示して希望なり何なりを与えるもんだと俺は思う。特にこういうジャンルでは。
マット・ディロン弟のラッキー・ラリーもそうだけど、嫌な奴だから死んで当然みたいな展開は何だよ。嫌な奴だけど、いざという時は立場とか地位とか関係なく助け合うっていうのが娯楽映画のあるべき姿だろ。なんのドラマもなくディロン弟が死んだ時には唖然としたよ。監督と脚本家は『クラッシュ』のマット・ディロンの姿を目に焼き付けろ。しかしこのディロン兄弟は激似だな。最初はマット・ディロンが出演してるのかと思ったよ。
でも一応、カート・ラッセル(この人なんだかんだ言ってもハリウッドでよく生き残ってるな)とその娘夫婦なんかにはそれなりのドラマが用意されてるけど、上映時間の短さのせいもあってそのドラマが作業的というか「やりゃーいいんでしょ、やりゃー」みたいな単なる通過点でしかない。
誰が死んでもどーでもいいなんて思いながら観た映画は久しぶりだね。むしろ誰が死ぬのかを予想しながら観ていたと言っても過言ではない。
どうせならローランド・エメリッヒに監督させりゃ良かったのに。あの人の映画はベタだけど熱いんだよなぁ。

どーでもいいけど豪華客船を舞台にした映画にも関わらず、脱出メンバーの中に金持ちのデブキャラがいなかったのは何でだろうとちょっと考えたりもしたが、途中でデブには強制リタイヤしてもらわなきゃならん場所があって笑った。