時系列上の最終話(9話)についてもう少し考えてみる。
2人が相合傘をしながら帰宅する時の会話及び行動について。
キョン「この傘、お前のじゃねえな?職員用って書いてあるぞ」
ハルヒ「学校の備品だもん。生徒が使って悪いことないでしょ。それとも何?濡れて帰りたいってんなら入れてあげないわよ!」
傘を取り上げて走りだすハルヒ。そしてグチを漏らしつつも追いかけるキョン。
たったこれだけのことなのに改めて考えてみると奥が深い。
ハルヒにとって(恐らくキョンにとってもだが)相合傘をして帰るのは非日常的なことである。
言い換えれば日常的な帰り方とは、ハルヒは1人で職員用の傘を使って帰り、キョンは雨の中濡れて帰ることだろう。
ハルヒが職員用の傘を使ってるのに気づいたキョンは彼女の非常識さ(ハルヒにとっては常識的・日常的なこと)に文句を言う。*1
そしたらハルヒは傘を奪い走りさっていく。
この傘を奪い距離をとるというのは
になり「もし私の常識・日常(キョンから見た非常識・非日常)について来れないのならそれでもいいわよ」と宣言してるのである。
要するにハルヒは告白をして返事を待ってるわけだ。
もしキョンが断るようなことがあればこれから2人とも日常を過ごすことになるが、キョンはハルヒを追いかけていく。
まさにOPの
一緒に来てくださいっ
どこまでも自由な私を見てよね
明日過去になった今日のいまが奇跡
つかもう未来を I believe you....
でありEDの
追いかけてね(追いかけてね) つかまえてみて
大きな 夢&夢 スキでしょう?
を体現したアニメ版ハルヒ史上最高*3の名場面となっている。
ハルヒの常識・日常をキョンが受け入れてくれたからこそ、ハルヒは日頃から求めている非日常的な体験(この場では相合傘)をすることが出来るのである。
ハルヒがあっかんべーをしたのはキョンが追いかけてくれると信じてたからこそ、からかったんだろうな。
今回のお話は日常を徹底的に強調した作りになっていたが、逆説的に「こんなささいなことでも誰かにとっては非日常的である」ということを示している良い例だと思う。