アニメ版『魔法先生ネギま!』は駄作じゃないよね

ついに「駄作だったか」という問いかけから「駄作じゃないよね」と同意を求めるタイトルになってしまった。それにしても半分ネタっぽい内容で書こうとしてたら思いがけず多くの人に読んでもらってるようなので真面目に書かねばなるまい。韓国のサイトからも来てる人がいるんだけど、こんな一個人の駄文まで読んでくれるなんて正しく「芸術は国を越える」ってやつだな。オタクの力は素晴らしい。


マジックキャンセルのことを書く予定だったが、この能力は明日菜の心理を理解する上で最も重要なポイントであるので後に書くことにしよう。
前回はネギと明日菜そしてクラスメイト全員の関係の変化を大雑把に書いたので、今回は木乃香と刹那の関係について書きたいと思う。
修学旅行編は原作漫画で3巻も使って書かれて最も盛り上がった話のひとつであり人気も高い。しかしアニメではわずか2話で終結し不満だった人も多かったのではないか。だが、自分は木乃香と刹那の関係を描くには、22時間目以降のオリジナルの展開を進めるためには十分だったと思う。
「刹那の生まれの秘密をやらないで何が十分だ」って怒っている人も多いかもしれない。確かに漫画の方では刹那の出生に関しては木乃香と距離を置く最も大きな原因だ。でも、木乃香と距離を置く原因はアニメ版でもちゃんと描かれているし、この原因を理解できないと後のオリジナル展開で何故刹那が木乃香から再び離れてしまうことになるのか疑問を残してしまうことになるだろう。
24時間目で明日菜を救えなかった原因は少なからず自分にあると感じている刹那だが、「ずっと一緒にいてな」と泣きながら頼む木乃香のもとから離れるほどの理由ではない、不自然だと大半の人がお思いかもしれない。
そこで修学旅行での木乃香の回想シーンを思い出してみよう。川で溺れそうになった時のことだ。自分の力で木乃香を助けられなかった刹那は「守れんでごめん、このちゃん。うちもっともっと強おなるから。」と泣きながら謝る。対して木乃香は「そんなんええよ。一緒に遊んでくれるだけで。」と答えるのだが、この時の刹那の反応をよく見てみよう。刹那は木乃香の返答に首を横に振って拒否する。自分の弱さ不甲斐なさを許せなかったのである。この時から刹那は木乃香の友達という立場から護衛という立場に徹するようになり距離を置くようになった。そして木乃香自身は距離を置かれる理由に気づいていない。
そして24時間目の電車の中である。木乃香は刹那に「明日菜が死んだのは自分のせい」「ずっと一緒にいて」との旨の話をする。この時の刹那の反応を見るとやはり首を横に振っている。
ここまで書けばみんなわかってくれてると思うが、刹那は木乃香に非はなく非があるのは自分であり、木乃香を傷つけてしまったのも自分であると思っているのである。そして過去に自分自身に誓った「強くなって木乃香を守る」という約束を木乃香の近くにいたために守れず傷つけてしまったから、例え「ずっと一緒にいて」と過去と同じように木乃香にお願いされたとしても再び距離を置くようになってしまうのである。
こうして見ると刹那の行動は不自然でもなんでもない。
また修学旅行の重要な場面は木乃香の回想だけではなく最後の木乃香と刹那のキスもある。これはネギと明日菜のパクティオーが意味するところに近い。ネギと明日菜はパクティオーによって誰よりも近い関係になる。木乃香と刹那も同じだ。しかし明日菜は自分の死を打ち明けることなく死んでしまう。そして刹那も木乃香の前から姿を消してしまう。そしてネギが明日菜の心を理解できたように、木乃香は刹那の心を理解でき「守られてるだけなんて嫌や!うちかてせっちゃんを守るんや!」という流れに繋がっていくのである。
これらのことから修学旅行編は後のオリジナル展開でネギと明日菜だけでなく、木乃香と刹那の関係を理解するために必要なことを十分にやっていると言える。


追記
木乃香が刹那の心情を理解する過程は詳しくは描写されていないが、いつも「刹那と一緒にいたい」と自分のことばかり考えていたが明日菜の死によって相手の「言葉に出さない気持ち」も深く考えるようになったからであろう。その後の手紙が刹那の心情を理解するさらなる要因になったと思われる。