『BLOOD+』と『シュヴァリエ』

Production I.G制作ってことで期待してた『BLOOD+』が最終回を迎えたけど結局最後まであまり盛り上がらなかったな。女王同士の闘いにライマックスとは思えないダルさが漂ってるのはちょっと酷い。音楽だけは凄いんだが。
小夜とディーヴァの闘いが盛り上がらなかったのは、小夜にとってディーヴァが自分の生活を束縛する敵でしかなかった(としか思えなかった)からだろう。作ってる人は、この何もかも対照的な二人は互いの鏡像で「自分の奥底にある何かを本当に理解してくれるのは彼女だけ」ということを意識してたのかも知れないけど、それをほとんど最後のセリフだけで説明してしまってないか?そういう意図があったのならばそれは物語の核となることだから、もっと早いうちからわかるように提示しとかないと駄目だろう。そうでないと最後の闘いは盛り上がるわけがない。
大体、小夜の方が仲間に恵まれすぎてるんだよな。小夜がどんなに悩んでもいつもカイがイイこと言っちゃって慰めちゃうから、小夜の苦しみが嘘っぽく感じられたり*1ディーヴァとの間にある二人だけの何かを感じ取ることができなかった。
とりあえず脚本・シリーズ構成が最悪。いくらでも面白くなりそうな題材をここまで退屈な物語によく出来るな。特にベトナム編はなくてもよかったと思う。て言うよりロシア編にベトナム編で重要だったことだけを詰め込むべきだったと言うべきか。ま、脚本だけでなく演出も駄目だが。
どうでもいいけど、なんで小夜だけ苗字が宮城でなく音無なの?


対して同じProduction I.G制作でもwowowで放送してる『シュヴァリエ』はかなり面白い。特に腐女子の方々は必見だ。
なんつったって主人公のデオン・ド・ボーモンは姉のリアが殺害された事件の真相(そしてそれは国家を巻き込んだものとなる)を追っているのだが、彼に危機が迫ると姉のリアの魂が乗り移って容姿・物腰がリアになっちゃって、最近では自分が望むときにいつでもリアの魂が降臨できるように姉の服を着て女装までしちゃうんだから。しかも重度のシスコンで許婚のアンナを目の前にして「姉を失った自分は全てを失ったようなものだ」みたいなことを言う始末。
俺がもし女でこんな面倒の見がいのある綺麗な弟がいたら絶対道を踏み外すと思う。いや女でなくても踏み外すかも。
それにデオンの仲間にはリアに恋心を抱いていた二枚目な男デュラン(どー見ても「攻め」)がいるのでカップリングも抜かりはないぞ。デオンを受け付けないという人にも、可愛い少年ロビンがいるので安心だ。才能はあるけどまだまだ子どもなもんで大人ばかりのメンバーの中では背伸びをして頑張ろうとする姿が母性をくすぐるだろう。
俺ってもしかして腐女子と結構語れる人間なのかもしれない。って、こんなことばっかり書いてるから以下略。
ちょっとは真面目なこと書くと、デオンが事件の真相を追うことと姉リアの魂の道程を追うことが並行して描かれていて『BLOOD+』なんかとは違って何が物語の核なのかがわかりやすいし、こっちの方が優れていると思う。事件の真相、そしてリアの魂は何を訴えかけているのか…これから目が離せない。
デュランの声は成田剣もいいけど鈴置洋孝で聴いてみたかったな。叶わぬ夢だけど。 マリー王妃役の甲斐田ゆきは「いつの間にこんな貫禄つけたんだよ」と驚くほどの迫力。一瞬、小山茉美かと思ったぜ。

*1:何か、カイにイイセリフ言わせるために小夜の悩みがあるような感じ。