とらドラ! 第1話「虎と竜」

武侠小説『臥虎蔵龍』がついにアニメ化!っていうのは冗談で、J.C.STAFFがアニメーション制作で釘宮理恵がヒロインのラブコメという「いかにも」な作品。
灼眼のシャナ』『ゼロの使い魔』シリーズに『隠の王』と、もはや釘宮理恵主演の(あまり出来の良くない)プログラムピクチャーが作られている節さえある現状にありながら、未だにこんな企画・プロデュースをする人間がいるってんだから……と軽く失望しつつ全く期待せずに観始めたら、これがまた予想を裏切るウェルメイドな出来を予感させる秀逸な第1話だった。上に挙げた三作品も初回は面白かったけど。


温厚な人柄でありながら目つきが悪いせいで怖い人と思われることが悩みの種で、母子家庭の生活を送っている*1主人公高須竜児。背が小さくて見た目は可愛いけど、実は凶暴な女の子逢坂大河
そんな二人の出会いと、二人の友人がそれぞれお互いの想い人であることを示すのにわずか7分程度。この手際良く且つ丁寧な7分間の後は、皆さんお待ちかねの大河お譲さんの大暴走とそれに振り回され困惑しながらも彼女の心の隙間を埋めてくれる竜児の優しさを見せてくれるラブコメの定番であり至福の時間である。

この定番の展開を奥深くしているのが「空っぽ」な大河と、それと対照的な竜児の描写。空っぽなラブレターに、空っぽな胃袋。乱雑に散らかった大きなマンションに一人ぼっちで住む大河。そんな彼女のために食事を作ってあげ、部屋の掃除をしてあげる竜児。竜児の家は小さいけど家族と一緒に暮らし、綺麗に整頓されてて物入れにしている箱にはギッシリ物が詰まっている。大河に空けられた襖の穴も彼女から貰ったもので塞ぐという、二人の関係を予感させるオチもうまい。
でかいマンションに住んでるのがちっちゃい大河で、そのマンションのせいで竜児が住んでる部屋には日が当たらず困ってるってのも笑えちゃう。でも部屋のある場所の高さは同じ二階だということもちゃんと強調されてて、お互いの立場は対等であるということが暗に示されている。(ちょっとだけ大河の部屋の方が高い所にあるけどね。)


正直、この作品が面白くなかったら「J.C.STAFFはヤバイんじゃないか?」と本気で心配するところだったけど、まだ大丈夫のようだな。『シゴフミ』も良かったし。

*1:影崎由那の『かりん』に登場する雨水健太の設定をまんま流用してる気が…