『魔法先生ネギま!』と『ぱにぽにだっしゅ!』と『あずまんが大王』それぞれの違い

前日『ネギま!?』に対する不安の原因として『ぱにぽにだっしゅ!』の表現方法に関して書いた。その際『魔法先生ネギま!』と『ぱにぽにだっしゅ!』がどのように受け止められているかをネットで探していたところ、大変面白くて興味深いエントリーがあったので載せておく。大手サイトに紹介されたらしいから多くの人は目にしたことがあるかもしれないが。
http://d.hatena.ne.jp/nippe/20060520#p1
http://d.hatena.ne.jp/nippe/20060530#p1
以前に『涼宮ハルヒの憂鬱』と『ぱにぽにだっしゅ!』がネットを利用して成功したという趣旨の文章を見たが確かにそうだろう。でも『涼宮ハルヒの憂鬱』はともかく『ぱにぽにだっしゅ!』は作品自体は好きだったけどネットでの交流であまり楽しめるものではなかった。だって『涼宮ハルヒの憂鬱』はハルヒキョン達の内面・関係の変化(要するに物語)について感想、意見や解釈を見ることが出来て語り合えたが、『ぱにぽにだっしゅ!』はパロディの元ネタを探し出しているばかりで、作品の内容そのものに対する感想なんかをほとんど見ることが出来なかったからだ。
確かに元ネタ探しは楽しいよ。でも、そんな結果を示してもただのデータだ。それに対しての感想なんかは「ワラタ」ぐらいなもんで味気ないもんだった。そんな中、上記のようなエントリーがあって非常に嬉しく思う。また前回の内容を書く上でこのエントリーは大変有用だった。


前置きが長くなったがタイトルにある『魔法先生ネギま!』『ぱにぽにだっしゅ!』『あずまんが大王』の違いについて書いていく。
結論から言うと『ネギま!』は日常と非日常を区別して描かれているが、『ぱにぽに』と『あずまんが』はあくまでも日常を描いている。
さらに『ぱにぽに』のベッキーが日常を(極力言葉にはしないが)「かけがえのない大切なもの」と明確に認識しているのに対し、『あずまんが』のちよちゃんは卒業という別れがやってくる終盤になってから日常の大切さに気づく。この違いがベッキーが教師で、ちよちゃんが生徒という差を生んでいるのだろう。
物語の構造の違いといえば『ネギま!』が多くのキャラクターとの新たな友情を築いたり成長をしたりする姿に焦点を当てているが、『ぱにぽに』と『あずまんが』は基本的に限られた学園内の仲良しグループの交流ばかりを見せている。ただでさえこうなのに『ぱにぽに』は話とは関係ない大量のパロディ・ギャグが詰め込まれているため物語(に意味)がないという意見を生み出してしまう。
ぱにぽに』に物語がないと『あずまんが』にも物語がないことになってしまうと思うし、俺はどちらにも物語はあると思う。どちらの作品にも最終回を迎えてしまうのを寂しく感じられたし、その原因は日常のドタバタの中でのキャラクターの行動を通じて彼女達の人間性を見れたし、その様子から日常・友情の尊さを見出すことが出来たからだ。だからこそ「物語(に意味)がない」なんて俺には言い切れない。
なんか上記のエントリーの反論っぽくなってしまったがそう意図したのではない。あくまでも3作品の違いを書いただけのつもりだ。ただ、ネットの多くで見かけた「元ネタ探し」ばかりに拘って作品全体を見ようとしない姿勢に対して先に述べたようにはちょっとガッカリしている。どう楽しもうが人の勝手だけど。


上記のエントリーの中にネギとベッキーとの違いを書かれている。それが作品そのものの違いになっているとのことだが

ベッキーが日本の学校教師になる理由が明確ではない。

とある。確かに桃月学園の教師になったのは偶然かもしれないが、桃月学園から離れない理由は明確である。そしてその理由こそが『ぱにぽに』の物語を紡ぎだす最も大きな原動力になっていると思う。

ちなみにベッキーが『ネギま!』のキャラの中で一番近いのはエヴァンジェリン(もしくは桜咲刹那)である。
金髪で小生意気でネコ耳吸血鬼だから!というのは冗談だが、詳しく書くと以下のようになる。
ベッキーはその天才的頭脳という異常さゆえに周りの残酷さに晒されることになり絶望していたが大学での教授との出会いがキッカケとなり桃月学園にやってきた。一方、エヴァは自身の吸血鬼という能力のせいで厳しい暮らしを送ってきたがナギとの出会いがキッカケとなり麻帆良学園で生活するようになる。二人は今までの暮らしではありえなかった学園の生徒達の良心に触れ幸せを実感していく。まぁ、エヴァは過去の自分の行いからその幸せを受け入れようとはしないが。
学園外の厳しさを知っているからベッキーは教師だし、エヴァはネギの師匠という立場にいる。刹那も明日菜の師匠だ。


前日の『ネギま!?』に対する不安に関してパロディによって物語を隠すことを挙げたが、『ぱにぽにだっしゅ!』のキャラを通りすがりのモブキャラとして登場させるぐらいのことはしてほしいかも。桃瀬くるみあたりが地味にいてくれたらツボにハマリそう。